第参拾弐話



【第0話 留学生】       (外国語は不慣れなので間違っているかもしれません、ご了承下さい)





七月二十七日(金曜日)
本日の天気は、汗も干上がる猛暑とはこの事だろうか…現在の気温は関東なのにまさかの四十度を超えていた

照りつける太陽が庭の朝顔を今にも枯らす勢いでジリジリと攻撃を続けている…

俺とミツはそれぞれ各自の部屋で夏休みの宿題をしていた、二人ともあと少しで終わる
ミツは苦手な国語を俺は美術の部長山田先輩に頼まれた「絵」を仕上げていた、今は最終段階の着色をしている

「…〜後はこの女の子の麦わら帽子を塗るだけっと…」

ゴクリ、最後と言うのはいつでも緊張するだから気が抜けない
もしも俺がここで失敗してしまえば全てが水の泡になってしまうのだ…

パレットの茶色と山吹色と白をゆっくり斑にならない様に丁寧に混ぜる、そして新しい筆に代えて最後の作業を済ませた

「…っ完成っ!!!後は乾かすだけー…疲れたなぁ〜〜〜〜〜……zzzz」

極限状態の後は爆睡に尽きる
俺は暫く寝た



+++

「おいモミジ!昼飯だぞ?今日は御主の大好きな素麺だぞー」ミツの声で起こされた、目を開けると彼が俺の肩をゆっさゆっさと揺らしていた

「…そうめん好きじゃないし…もう昼?」
「御主朝早くから作業しておったのだろう?作品の方は終わったのか?御主今日中に終わらせたいとか言っておったよな?」
「もー終わったよ、安心しろい」
「それなら良いのだが」

「ミーツキ、モミジちゃんは起きたかぁーい?」階段の下からジイさんが呼んでいる
儂はモミジの腕を引張って一階に降りた、台所でジイさんが茹で上がった素麺をガラスの器に盛り付けていた

「モミジちゃん宿題は終わったかい?」
「うん終わったよ♪さっき美術部に頼まれた絵も終わったし」
「寝ておったがな(笑)」
「そうかい…でーミツキの方はどうじゃ?」

「まぁ…何とか終わったぞ」ミツが目を逸らす、本当に終わったのか〜?

「それなら良いんじゃが…」

じいちゃんのそうめんは麺の茹で具合が絶妙だ、硬すぎず柔すぎず丁度良い
そうめんのつゆはわざわざ鰹節から作っているこだわり様だ、薬味の葱とミョウガはスーパーで買ったものだが

「ん、美味いw…あれその
手紙何?」俺は台所のテーブルの上に水道代の請求書の上にあったピンク色の花柄の封筒に目がいった
差出人は女性だろうか、とても綺麗な字で文字が書かれていた

「はて…?誰からじゃろうな?はっ!もしやワシへのラブレターか?」
「んな訳が無かろう…色惚けジジイ、女物だろうその封筒、モミジの友達じゃないのか?」
「かも知れんのーほれモミジちゃん」

そう言ってジイちゃんはその花柄の封筒を手に取り俺に渡してきた、俺は送り主の名前に見覚えが無かったのですぐにジイちゃんに返した

「俺んじゃないよージイちゃん宛じゃない?宛先見てよ」
「違うんかい…ほ、何だワシ宛じゃなコリャ」
「…誰からだ?」

「ん〜…とのぉ…「
凱軍華(ガイグンハナ)」?えっとー誰じゃったかなー…?」
「何だそら?読みが違うんじゃないのか?」

ジイちゃんとミツが封筒の送り主の名前について議論してる時だった
ガラリと台所の硝子戸を開ける音がした



総司叔叔称好人今天井始半年間美照!」突然異国の、中国語の言葉を話す何者かが台所に入ってきた
長髪の青み掛った黒髪のスラットしたスレンダーな美人だ、スカーレットのタンクトップとインディゴのデニムが色っぽさを強調している

称好〜…?是叔叔芍?
「…は?へ???????だっ誰じゃいっ!!!!????」
没渇喝?

「知道遜介人的喝?(ジイちゃんの知り合いですか?)」←モミジ

是!我是那介人的弟弟的孫女
「是中国人芍?日悟是不是能理解?(中国の方ですよね?日本語は分かりますか?)」
「…えぇ日本語は大の得意よ?」

突然、異国の言葉から良く知っている日本語に変わった

「それにしてもこの見た目で分からないなんて…総司叔父さんもお歳を取ったわね〜」
「へ?…誰じゃい?何でワシの事を」

「お久し振りです、
凱 軍華(カイ ジュンファ)です!総司叔父さんの弟の真田総三郎(さなだそうざぶろう)の孫娘です」

その中国人女性がにこやかに自己紹介をした、すると俺の前に座っているジイちゃんが目を丸くして急に椅子から立ち上がった

「なっなっなああああああああ!!!」
「如何したじいさんっ?!」

「そんなに驚く事?」
「あー!!ジュンちゃんかい?総三郎は元気にしとるかい?」
「えぇお爺ちゃんはとっても元気よ、総司叔父さんもお元気そうで何よりです」

「…全く会話に付いて行けない……のぅモミジさっき何と話しておったのだ?」
「あー…あの女の人ジイちゃんの姪っ子みたい…え?」

俺は思わず首を傾げた、だってその女性はどう見たって若い
年齢は恐らく二十歳くらいだろう、どう考えても年齢的に…

「あっそーいう事ね!あの人ジイちゃんの大姪だ」※大姪(兄弟の孫(女の子)、男の子なら大甥)
「…そう言えばじいさん本名は総司だしな」
「それを今言った真田とくっ付けると…「真田総司」か」

俺は納得してポンと手を打った
ミツがまだイマイチ状況を理解していない様だった、正直俺も良くは分からないが

「しかし〜急に来たのぉ?何があったんじゃ?」
「え…っ!!もしかしてお手紙目を通して下さらなかったんですか?」

「手紙…?あっもしかしてコレかの…?」そう言ってジイちゃんはテーブルの上に放置してあった花柄の封筒を指差した

「…ウソ〜もしかしてさっき届いたとか?ですよね…」
「スマンのぉ〜」

ポリリと頭を掻いている、流石に未開封の封筒を目の前にして良い訳は出来ない

「実は、今年から北京の大学に通っているんです、それで日本の文化や言葉について研究をしていて日本への半年間の短期留学があって、思いっ切って応募してみたら
受かっちゃって…でも日本の知り合いなんて居なくてそれで、総司叔父さんの家にホームステイさせて貰おうと」

「お手紙を書いたんですけど…どうやらワタシが来る方が早かったみたいですね、御免なさい」ペロッと舌を出して苦笑いしていた
とてもチャーミングな女性な様だ、しかし顔は全くジイちゃんに似ていない…

「短期留学ですか?凄いですね、でも良く此処が分かりましたね?」ミツが笑顔でジュンさんに話し掛けた

「そんな事ないですよ〜あっえっと…?」
「火群魅月です」
「俺は



「真的ー!!!紅叶勺十公在ー??」と、いきなり俺の顔を指差して大声で叫んだ
俺は今の彼女の台詞を聞いて固まってしまった…「モミジよね?」って何故俺の名前を知っているんだろうこの人?

「え…?」
「対不起!…そうよねもう十年も前だものね……ワタシの顔なんて覚えてないわよね?」※対不起(発音:ドゥェブゥチ、御免なさい)
「どう言う事?ですか」


「凱軍華、この名前を忘れちゃった?良く
軍華姐姐(ジュンファジェィジェィ)って呼んでくれて慕ってくれていたのにね…ワタシもモミジも随分変わっちゃった
ものね」

俺はそのフレーズを聞いてハッとした、軍華姐姐…確かに昔誰かに言った事があるニックネームだ

俺は記憶の引き出しを必死でこじ開けた、そして一つの思い出が脳裏に浮かんだ



「……軍華姐姐!!」

確かにその記憶はあった、それは今から十年も昔の話―

俺が日本に来る前の話、まだ四つの頃だった、俺は養父のジャック・スパルタンと中国を旅していた事があった
どういう理由でこの国に滞在していたのかは良く分からなかったが…

その時俺と親父が宿泊していた宿のすぐ近所に「星屑(シンイー)」と言う土産屋があってよく通っていた、その時にその店の看板娘の女の子と仲良くなった
彼女は俺より五つ上のお姉さんだった、彼女は年下の幼い俺と良く遊んでくれたりお喋りしていて気が付いたら仲の良い友達になっていた

笑顔が最高に素敵な人だった、国に慣れていない俺に優しく色々と教えてくれた
言葉や文化、眺めの良い場所なんかも…



「想起了喝?十年振りね…大きくなったわねモミジ!」※想起了喝?(思い出した?)
「軍華姐姐も大きくなったね!ビックリしたよ〜ホント久し振りだし、しかも日本語めちゃ上手いし」
「でしょう?沢山練習したのよーこの十年間…ワタシ貴女に会ってとっても日本に興味が湧いたの!だからお爺ちゃんに日本語を教わったの、まだちょっと
ぎこちないけれどね♪」
「そんな事ないよースッゲー上手だよ☆俺もこの十年間で必死でこの国の言葉を覚えたんだ…そりゃ最初は無茶苦茶だったけどね」
「モミジも上手よ?本当に日本人になったみたい…でも如何して総司叔父さんの家に居るの?」

「あー…それは〜色々あってね…」俺はバツの悪い顔で目を逸らした

「何があったの…?ジャックさんは何処に居るの?」
「………いないよ、親父は死んだよ」

「えっ…如何言う意味?」
「そのまんまだよ、ロシアで別れたきり会ってないよ…あんな激戦の後だもん、殺されてるよきっと…」

俺はギュッと拳を堅く握って空を睨んだ

「大変だったわね」軍華姐姐は俺を優しく抱きしめてくれた

「貴女が生きていてくれて本当に良かった…ただいま「Momiji・Seaphil」会いたかったわ」

心から嬉しかった
泣きたい気分になった…





「ちょっと…ジュンちゃん何なんじゃい?モミジちゃんと知り合いなのかい?」
「モミジ軍華さんと…如何言う関係なのだ?」

いつの間にか蚊帳の外にいたミツとジイちゃんが不思議そうな顔で俺達を見ていた

軍華姐姐は事の事情を説明した、話を聞いた二人は何故か涙を流していた

「そ、そんな事があったんかーい!!!辛かったろう…おろろ」
「モミジぃ〜御主…大好きだぞーー!!」

ミツが抱き付いてきた、この二人はその場のテンションに流され易い性格の様だ

「ってわっ///」抱き付いてきたと思ったら急に唇を奪われた、ココ人前なんですけどぉ!!///

「阿…?!」(←※実際は字が少し違いますが、保存が出来なかった為に似た文字を使用してます)
「ミツキお前さんっ!!人前じゃぞぉ///」



+++

「色々吃驚したわ…最後の接吻(キス)もね♪」軍華姐姐がニコリと笑った
そこは忘れて欲しいけど…///

「まさかモミジにボーフレンドが出来ていたなんて…本当に大人になっちゃったのね」
「はっ///いやっまだそんなに大人になんてなってないよ!!エッチだな軍華姐姐はー(笑)」
「え?あっ違う違う!!そういう意味じゃないわっ///ってワタシだって結構大人よ?」

「軍華姐姐が汚れて…
「待ってモミジ!ワタシまだそんな経験無いわよ!」
「彼氏いないの?」

「い…いないけどー今はね!」彼女がムスっとした表情をした、姐姐は顔を真っ赤にして俯いた
そう言う所は昔と変わらないなぁーと思わず笑みが零れる

「本当に大きくなったわねモミジ…見違えちゃった、だけど身長は相変わらずね〜もう何歳なの?」
「十三だよ、もうすぐ十四だけど…姐姐は…?」
「十八歳よ、十月に十九歳になるわ…フフフ」

「?」
「子供の頃のこと…思い出したわ、裏路地を歩きながら空を見たわね…モミジは星座の名前にとても詳しかったわ、十月の十二日生まれだって言ったら
「天秤座だよね」ってすぐに答えたもの…空を見上げて「あれが天秤座よ」って私にはどれも同じ星に見えたのに凄いなぁーって…」
「そんな事あったっけ?」

「まだあるわ…自分はギリシアの生まれだからって沢山ギリシア神話を話してくれたじゃない?ほらメデューサとかサキュバスとか、本当良く知ってるなぁって」
「そうだっけ…ゴメン俺昔の事ってあんまり覚えてないんだ」
「えっそうなの…?!何かあったの…?」
「分かんない……おっ覚えて無いから!」

「そー言えば姐姐って大食いだったよね?」俺はポンと手を叩いて姐姐を見た

「…ねぇそこは忘れてないのね」姐姐が苦笑した
彼女はとても大食いだ、と言うか悪食(あくじき)の領域だった

「確か大食い大会があって胡麻団子を二千個平らげたんだよね〜あっそうそう勝てば賞金貰えるからって「酔蟹(ズィエー)」を百個余裕で食べてたね♪」
「ちょっ///」
「あと激辛の麻婆豆腐を二十人前!あれにはビビっt…

笑い顔で話していたら姐姐から口を塞がれてしまった、何だよ〜もっとあるのにw
その話を隣で聞いていたジイちゃんが天井を見上げてぼけーっとしていた、きっと食費の事を考えていたのだろう

「モミジっ!!もぅっいい加減にしてよ〜///ワタシ今はそんなに食べないんだからぁ!」
「ジュンちゃーんその…コッチはどの位入れてくれるんじゃ?」

ジイちゃんの右手がお金になっている…目が死んでいた

「…総司叔父さんハァ……い、入れますよこれから毎月食費はキッチリと!アルバイトもこれから探します、だから安心してネ♪」
「高収入のアルバイトなんてあったかのぉ?ミツキ」

「さぁなー…しかし大食いとは、肉食系女子か?」
「如何言う意味?」
「男に飢えていて男を見ると猛ダッシュで追いかけて捕まえようとするアマゾネスみたいな女の子の事だよ」

「だっ誰がアマゾネスよ!!!失礼ねミツキだったかしら?覚えてらっしゃい!」姐姐がミツの眼前に人差指を突き出した
ミツがうっと後ろに仰け反る

俺の気のせいかもしれないが一瞬姐姐が嫌な笑みをしたように見えた




+++

翌日、二十八日、土曜日の午前八時ごろ―

今日の天気は昨日に引き続き良いお天気だった…
気温は前日ほど暑くはないが猛暑である事に変わりはない

「日本(にっぽん)はこんなに朝早くから暑い国なの〜?もう胸の谷間に汗掻いちゃったわよ…」姐姐がパープルカラーのキャミソールの胸元をパタパタとさせて
汗を飛ばそうとしていた

「姐姐ってオッパイなんてあるの?」
「嫌味かしら〜?良いじゃないAカップだって立派なものよ!モミジは随分と成長したわね〜?」
「アンダー67くらいのDだよー普通」

「ふっ…そう言えば、ねぇミツキって何歳なの〜?モミジより年上でしょ?」そう言って姐姐が左隣に座っているミツに質問をした

「…え?モミジと同じ年ですよー同じ中学二年の十三歳です、良く年上に見られますけどね…」
「そうなのっ?……日本人の男の子って小柄ってイメージがあるんだけど貴方は大きいのね〜総司叔父さんは小柄だし…」

「ワシそんなに小さいかのぉ〜ジュンちゃん?」ジイちゃんは肩を落として小さく溜息を吐いて坊主頭を二、三度掻いた
何だか申し訳なさそうに見えた

「儂の周りの男子は割と大きいですよー親友は儂より背が高いですし…」
「へぇ〜、じゃぁねぇ女の子は大きいの?ほらモミジは小さいし!あっモミジはギリシア人だったわねゴメンっ」
「外国人でも小さい人種もいるんですよ〜ジュンおねえさーん」
「ウフフ」

姐姐が笑って誤魔化す、そう言えば子供の頃もそうだったなぁ〜マズイと思ったら笑って誤魔化すの…
ほんと、変わってないなぁ〜、思わず笑みが零れる

「何よ〜!」
「…儂の周りの女子は155cm位ですかねーモミジは小柄ですけど」

ミツが少し考えて口を開いた、確かに俺の周りの女子達はその位だけど、俺が小柄だってのはBIGなお世話だー!!

「へぇ…やっぱり小さいのね〜それとも中学生だからかしら?大人は?」
「大人は…160位かな、のぉモミジ?」
「さぁーそんくらいじゃねー?ふーん」

モミジがそっぽを向いた、そんなに小さい事が気になるのか?

「小さくても良いんじゃないのかー?可愛らしくて」少しフォローしてみる、モミジが儂の顔を見てくれた
口元が笑っている、彼女はとっても素直な娘だそう言う所は
本当に可愛いと思う

「さーてお喋りもその辺にして朝ご飯にするぞ〜」ジイちゃんが立ち上がった
それにつられて俺も台所へ向かう、その後を姐姐がウキウキしながら付いて来る

「朝ご飯w朝ごは〜んw」昨日の夜はお茶碗三杯だった、少し少食になったと言い張っていたが三杯は多い…
きっと今朝も沢山食べるんだろうなぁ〜

因みに俺はもう無駄食いを止めた、何故なら家庭のお財布事情を知ってしまったからね
まぁ大食い大会があったらストッパーは外すだろうけど

「ん〜お・い・し・いーー!!日本食ってホント美味しいわぁ〜屋台も良いけどお家で食べるご飯は格別ね☆まだまだ食べれそう!」既に二杯を目突入していた
俺の前に座っているジイちゃんがどんどん青い顔になってゆく

「姐姐ーもうその辺にしてよ…あんま喰ったらジイちゃんが死ぬから、経済的な意味で」
「…それは困るわ!お爺ちゃんに怒られちゃう」
「総三郎よ、何故こんな悪食を寄こしたんじゃ…そんなにワシが嫌いか?総三郎〜」
「ジイちゃんが何だか可哀相に見える…本当に爺さんだ」


朝食を済ませて俺は食器を洗っていた、いつもは三人分のお茶碗が四人になった
食事の面では問題だらけだが家の中が明るくなったのは間違いない、姐姐はムードメーカーだから一緒にいると笑顔が絶えない
俺はそんな姐姐が大好きだ!

「なぁモミジ、軍華さんは彼氏はおるのかのぉ〜?」ミツが突然質問をしてきた、泡の付いた手で持っていたコップが落ちそうになった

「い、いないって言っててけどーって何でそんな事聞くんだよ?」
「いや〜軍華さん美人だしモテそうだなぁーって」
「ほんっとミツって美人に弱いよねー!あーいう女(ひと)が好みなのかよ?そりゃ俺は男っぽいし色気とか全然無いかも知んないけどー!」
「なぁに怒っておる?モミジは十分可愛いぞw儂は見た目が美人より中身が美人の方が好きだ」

ドゴンっ、ミツがすっ飛んだ、今の一言で俺はブチ切れた

「痛いではないかーっ!いきなりなn
「ブスで悪かったですねっ!もう知らないサイテー馬鹿っ!!!」

「も、モミジ…意味が分からんわ」



儂は気分転換に庭に出た、大きく深呼吸をして少し落ち着いた

「たくっ…モミジの奴なぁに怒ってたんだ?」
「デリカシーが無いのよミツキは」

ポンと後ろから左の肩を突かれた、軍華さんだった

「さっきの喧嘩は貴方が悪いわーあれじゃモミジの事を不細工だって言ってるようなものよ?」
「軍華さん…いや、儂は心の話をしたんですけど」

「女の子はボーイフレンドに他の女の子とどんな事でも比べられたら腹が立つ者生き物なの」

「別に、比べてなんて…」
「ワタシとモミジは違うわ、年齢も身長もタイプもね?恋人なんでしょう?だったら「貴女が一番」だって胸を張って言えるようになりなさい、モミジは
ワタシにとって大事な妹分なんだから、大切にしてあげて欲しいの…きっと彼女もミツキに大事にされたい筈よ?いい?女の子は二番じゃダメなの、
絶対に「一番」じゃなきゃダメなの?」

「……は、はい///」思わず照れる

「さーて、バイト探しに行かなきゃ〜総司叔父さんに怒られちゃうわ!それじゃぁねミツキ」



真夏の空が儂の背を押す

何故だろうか




胸の奥がモヤモヤしている







その時一羽の燕が低空で飛んできた
もうすぐ雨が降る―


☆☆☆あとがき☆☆☆

ここから
新章突入!新キャラの凱軍華(カイジュンファ)が登場します。留学生ですw
この回までは穏やかですが・・・、ね(笑)

因みに軍華のビジュアルは殆ど瑪瑙と被ってます(汗)背が高くて長髪の美人さんなので・・・。