第廿玖話【初恋】


夏木 渚(なつきなぎさ)、彼は生まれながらに体が弱い
学校も小学生の中学年くらいまではあまりまともに通えていなかったそうだ

小さな頃から内臓に疾患があるらしく、ほとんど外で遊んだ事がないらしい
それ所か友達と呼べる人がいないのだ…

だが彼は寂しくないと笑っていた

友達は居なくても自分を見護ってくれる家族がいる、と



+*+

「そぉーれ♪」
「わっ!やったな〜」

バシャバシャ、生温い海水を掛けあってじゃれている、ぼく達は誰もいないビーチで遊んでいた
キラキラと光る水面がとても眩しい

「ははは♪ナギサくーん☆ネェネェーそろそろ泳ごうよ!」
「凪ちゃん…」

「ナギサくん??」



「…オレ今まで一度も泳いだ事ないから、多分泳げない、かな…ゴメン」

彼は今まで一度も体育の授業を受けた事が無い、病弱で虚弱な体には運動は困難らしく学校の先生も懸念しているそうだ

「じゃぁぼくが教えてあげル〜☆★☆アッチの方に行こうよ!深いトコじゃないと泳げナイヨ〜〜♪♪♪」そう言ってぼくはナギサくんの腕を引張って
少し先の沖まで行った、そこはぼくの肩が浸かるくらいの所だった(約110mくらい)

「深くない…?凪ちゃん溺れそう…」
「ム〜〜!!ぼくそんなにチビじゃないモン!ホラっ手ェ出してぼくが引張ってあげるカラ☆」
「え、…あー何だか女の子にそんな事して貰うって恥ずかしいな…」
「ぼくは平気ダヨ♪♪それにココならぼくとナギサくんしか居なんだし、二人っきりなら恥ずかしくないヨ☆♪」

ナギサくんは少し照れた様な顔でそっと両手を出した
それからぼく達は少しだけ泳ぐ練習をした、ナギサくんは物覚えが良い方らしく直に泳ぎ方をマスターした

「〜そろそろ上がろうか、あまりココにいるとナギサくんのお母さんに見つかっちゃうし…」そう言ってぼくは浜に上がった
その後ろを彼が付いて来た、下を向いて何だか辛そうに見えたので慌てて駆け寄った

「ナギサくんっ!!!だいじょう…


??!!

「凪ちゃん」
「わああああ!!!!!!…へ?」

急に左腕を引張られて彼の方に引き寄せられた
ナギサくんは「ゴメン」と言ってクスリとわらった、どうやら演技だったみたいだ、良かった…

「…何だよ〜??ビックリしたじゃ

「    」

「泳ぎ方を教えてくれたお礼だよ」
「…っasdfghjkl〜〜〜〜〜@\/*-+$%ふやぁぁぁぁぁ
/////////!?!?!?!?!?」
・・・・
不意打ちだったからビックリした、と言うかぼくの事をナギサくんはちゃんと女の子だと分かってくれているみたいだ

「驚き過ぎだよ?…もしかしてキス、初めてだったの?」
「ふぁ?…ナ、ナギサくんした事あるの??」
「?二ーナとはあるけど」
「ニーナ??(外国人?!)」

「昔飼ってた犬だよ?あれ…凪ちゃん顔真っ赤だよ?」そう言ってナギサくんはくんはぼくのほっぺたを両手で包み込む様に触ってきた



「ななななーナギサくんっ///////////////」

「あそこの岩場に小さな洞窟があるんだ、陽射しが強くなってきたトコだし行こうよ凪ちゃん…」

ぼくは彼に誘われるがままに小さなビーチの南東側にある岩場に向かった
そこには彼の言う通り大人が四つん這いで入れるくらいの小さな洞窟らしき穴があった、何だか秘密基地みたい

「へぇ〜結構中は広いんだー♪おっ上が丁度開いてる〜〜☆」
「小さな頃はここで良く星を見てたんだ…今は昼間だから太陽の光が降り注いでるけど」
「何だか海賊の宝物がありそう…ひゃぉ!」

「時々ここには来るからタオルケットとかも置いてあるんだ」




「オレ眠くなってきちゃったよ、お昼ねしよ凪ちゃん…///」
「う、うん……?」

ぼくとナギサくんはしばらくその洞窟で
過したぼくは彼に初めてを捧げてしまった…後悔なんてしていない

そうか…これが愛なんだね……///

夏の温度が身に沁みた


+++

午後四時少し過ぎ、雲行きが怪しい
東の空に大きな雨雲が見て取れた、こりゃ降るな

俺とミツは集合場所である昼間カレーを食べた海の家「さざなみ」に向かった
一応ミカには携帯で連絡を取ってある、ミカとショウも今から海の家に向かうそうだ

俺達が到着した時には既にミカや殆どが揃っていた

「メノウ姉ちゃんがいない」
「瑪瑙先輩なら今車に町田さんを呼びに行ってくれてるわ、全員揃わないと帰れないし…あれ?また凪ちゃんがいない」
「凪っ!…〜もぉ〜〜〜あの子何処に行ってんのよ」

「携帯無いし俺探して来るよ、確かサーフショップとか言ってたし」
「いや待てモミジ、見てみろ雨が降り出してきたぞ…代わりに儂が行こう」

「実果子ちゃん今戻ったわ…町田さんが……」メノウ姉ちゃんだ、隣に紫苑がいる

「おーい!大変だ町田さんが
ぐったりしてるんだ!スイマセーンそこのオバちゃん悪いんだけど救急車呼んでくんね?」

良く見ると紫苑の背中に町田さんがおんぶされていた、その顔には力が無く赤い顔をしていた

「町田さん!!一体何が…?」
「恐らく
熱中症ね、見て顔が赤いわ」

「お兄ちゃん悪いんだけどさっき土砂崩れが起きたみたいなんだよねぇ、ほらここ田舎でしょ?その人重症かい?」
「え…あイヤ、多分熱中症だと思うけど…つーかこのくらいの雨で土砂崩れって…」
「この海岸はね小さな村の外れにあるでしょ?村と街を繋ぐ山道がぐちゃぐちゃなのよ〜おまけにここは病院が無いの
ケガしてないなら民宿で大人しく寝てた方が良いって」

「民宿って…予約もしてねーのにイキナリ泊まれっこないだろー?車デカイけどこの人数が寝泊まりなんて無理だしよぉーなぁ?」
「そんな事言われてもな〜旅館ならあるけんどこの人数はねぇ…お兄ちゃん達まだ学生さんだろう?」
「…くそ、なぁミカコちゃんマジでどーする?町田さんこんな調子じゃ運転は絶対無理だし、つーか土砂崩れだし…俺一応免許はあるけどマイクロバスは、ねぇんだよな」

紫苑がチッと舌打ちをした、不穏な空気が流れている

「紫苑さん…あっ!旅館で思い出したわ!!」
「ミカコちゃん?」
「ねぇオバさんその旅館って「鮫島旅館」って名前じゃないですか?もしそうだとしたら私の知り合いです」

「お譲ちゃん、あぁそうだよーお譲ちゃんの知り合いなのかい?じゃぁ電話貸してあげるよー番号はここに貼ってあるからホラ」
「有難う御座います!!」

ミカはすぐにその鮫島旅館に電話をした、受話器の向こうから微かに年配の女性の声が聞こえていた
恐らくその旅館の女将さんだろう、俺はホッと胸を撫で下ろした「何とかなったかも…」と一人安心していた

「皆さん、急でしたけど旅館の予約が取れました、鮫島旅館はここから歩いて二十分くらいです、紫苑さんには悪いですけどそのまま町田さんを背負って
旅館まで運んで貰えませんか?貴方だけが頼りなんです!」
「お、おぅ!合点承知ぃ!!んなこたぁ言われたらなぁ〜(俺頼られてる…俺頼られてる…)」

「じゃぁまず点呼しないとね」メノウ姉ちゃんが仕切りだした
アダルト組はこういう時に凄く頼りになる、特にメノウ姉ちゃんは周りが慌てていても一人冷静に正しい判断が出来るのだ
まさに亀の甲より年の功だ



「…凪ちゃん以外皆揃ってるわね、アリサちゃんあの子の居場所分かる?」
「分かんないです…」

と、その時「ごめーーーん」と甲高い大きな声で叫びながらハーちゃんが帰って来た
雨に打たれたのか全身ずぶ濡れでハァハァと息を切らしながら俺達の所にやってきた

「バカ凪!何処に行ってたのよ?!」
「あ、アリー…あぅっ……友達の所、えっと如何したの?」
「凪ちゃんあのね…」

「…じゃぁ今日は帰れないんだ…あ、はは、はぁ……」そう言ってハーちゃんは
微笑した
それに気付いたアリサが「この非常時に何笑ってんのよ!」と叱った、ごもっともだ

「とっとりあえず着替えましょう?水着のままじゃアレだし…」

と言う訳で先ずは男子から着替える事になった、荷物はミカとショウとミツが取りに行ってくれた

「ねぇ凪、如何してさっき笑ったの?町田さん大変なのよ?」
「まぁまぁーアリサもちつけってwハーちゃん友達出来たんだよね〜どんな子?男の子?女の子?」
「え、っと男の子、同い年の男の子だよ…サーフショップの息子」
「…アンタまさかナンパされたんじゃないでしょうねその子に?」

「さっされてないヨ!!ナギサくんは優しい人だよ!!体の弱い子で…」
「…ふぅ〜んまた後で
行くの?そのナギサ君のトコに」
「えっ」
「無理でしょー?非常時よ?」

「わ、分かってるけど!!うるさいなぁアリーの馬鹿ぁ!!!!!!」ハーちゃんは大声で叫んで近くに置いてあった自身のカバンを手に取ると
バタバタと駆け足で店を出て行った

「な…凪ぃぃぃぃ!!!!!!」アリサが叫ぶ、店にいる客が一斉に彼女を見ていた、アリサがその場にくずおれる

「アリサ如何したんですか?」一足先に着替えを済ませた白河が俺達の所にやって来た

「凪が…あぁぁぁぁーーーー!!!」
「ナギちゃん?」

「こりゃぁ
だねぇ〜〜♪」
「モミたん!!」

「ハーちゃんは彼氏の所に行ったんだよ〜大丈夫、明日には戻って来るよ☆」
「か、あの子が人を好きになる訳無いでしょ!!まだ子供なのよ!」 ・・・・ 
「何言ってんのさー?ハーちゃん俺達と同じ中二じゃんか?ミカにはザックリ事情を話すから大丈夫だって!」

そう言って俺は右手の親指を突き立てて「GOOD」と言った


+++

雨足はさらに加速してゆく…
先程から雷が鳴り止まない、轟々と大きな音が海の家に響く

「…事情は分かったわ…、つまりこう言う事ね「凪ちゃんは体の弱い彼氏の所に行きたくてしょうがなくて飛び出して行っちゃった」って訳ね」
「左様で〜♪こりゃぁこりゃぁ
難破船だわね〜〜w」
「間違いないけど言わないの↓…て言うか亞璃沙ちゃん大丈夫かしら?さっきから落ち込んでるみたいだけど…」

アリサはハーちゃんが飛び出して行ってから俯いたままだった
ミカは「明日の朝迎えに行くから大丈夫よ」と声を掛けたがあまり聞いてないようだった

「ミカコー!そろそろ行くよ、紫苑さん行けますよね?」ショウがミカに手を差し伸べた

「う〜ん…そうね、ここでウダウダしてても埒が明かないものね、ほら亞璃沙ちゃん行きましょうよ?」
「…そうねうん」

皆、荷物を手に持ち海の家「さざなみ」を後にした

「(おっと)ねぇオバさーん、この近くにあるサーフショップって何件くらいあるの?」俺は出際に海の家のオバさんに聞いてみた

「サーフショップかい?三件だよ、「諸星海屋」さんと「大波小波」さんと…クレムだっけカレムだっけそんな横文字の店があるよ〜」
「場所教えてよ」
「「諸星海屋」さんはホラ、この店のすぐ裏だよ〜赤い屋根のログハウスさ、二件目の「大波小波」さん所は都間(みやこはざま)駅の向かいだよ、三件目の
横文字さんはこの海岸沿いを南東に十分位歩いた所にあるよ〜」

「じゃぁその三件の中で十四歳の病弱な男の子がいる店ってある?」俺は確信突いて訊ねてみた
もう海の家には俺とミツしか居なかった、彼が急かす様に俺の手を引く

「渚君かね?あの子生まれ付き体が弱いって聞いたよー、店は横文字さん所さ」
「横文字ね!あんがとオバさん♪恩に着るよー」



「しかし…早瀬は自分勝手だな〜いくら明日帰るからって」
「愛はモンスーン(偏西風)、恋は盲目ってねw…まぁひと夏の恋だろーけど、初恋なんて叶わないのド定番だし」
「御主…見逃せと言う訳か」

「そう言う事☆それに、俺も
初恋の最中だからハーちゃんの気持ちが分かるしね…」
「……〜///あー…儂は初めてじゃないぞ?モミジ」
「何アピール?(笑)ばぁーか中坊の恋愛なんて軽い大怪我みたいなもんだって事、治るけど怪我した事は忘れないんだ…一生側に居たくても、将来の事
考えてても結局はベルリンの壁が邪魔するんだよ、ね…」



「だったらそんな壁なんて儂が壊してやるさ」
「…っ//////ー好きになって良かったよミツのこと…ホントはさ初めて見た時から…、」


「っ///……の、のぅ折角だし、あいや…この際じゃ無くて…えっと…儂の彼女になってくれぬか、モミジ?」


「///…ヤベェすげぇ嬉しい……でも今は嫌だゴメン」
「へ?」
「だって今付き合ったらあの日の
約束叶いそうに無いんだもん、だからもう少し先になってからが良いなー絶対がいいの…」

「じゃぁそれまで嫌われぬようにせんとな…っ…」

ミツが横を向いた、微かに泣き声が聞こえた
だけど俺は前を向いて歩いた、雨足がさらに加速する、持って来ていた安物の折り畳み傘じゃもう雨を防ぐ事が出来そうにないみたい

俺達はこれ以上雨が激しくならない内に早足で「鮫島旅館」に向かった
五分くらい走ると高台に着いた、ミカ曰く旅館はこの上にあるらしい

「大丈夫かモミジ?」
「平〜気!よぉ〜し旅館まで競争だぁ!」







「御帰りなさいな、ようこそ鮫島旅館へ、わたしはこの旅館の女将の鮫島紗智子でございます、さぁさお荷物をこちらへ」旅館に着くと女将さんが出迎えてくれた
背の高いスラリとした京風美人だった、白い肌がまるで白玉みたいだ、歳の頃は四十歳位だろうか

「モミジ、火群君…おかえり、今皆お風呂に入ってるわよ、二人も入って来たら?びしょ濡れよ?」

ミカが出迎えてくれた、他には誰も居なくて一人だった
少し服の肩の部分が濡れていたので雨が横殴りに降ったのだろう

「ミカ、ただいまー!そぉだな〜じゃぁミカも一緒に入ろうや」
「じゃぁ儂もちと覗くか(笑)」
「ミッツぅ〜!覗くなら俺のだけにしろよ〜?(笑)」
「〜…ぬぅ、叶風呂に案内してくれ」

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風呂は大浴場だった、水色のタイルが涼しさを通り越して寒々しく見える
大きな浴槽は真ん中から区切られていて右半分が女湯、左が男風呂になっている様だ

「や〜気持ち良すぎwwww冷えた
カップが温まるわww〜〜なぁミカ?」
「…遠回しにちっぱい(貧乳)って言うな!これでも
カップはあんのよー」

湯に浸かるなり大きな声で会話した
先に入っていたメノウ姉ちゃんとアリサが呆れた顔で俺達を見る、メノウ姉ちゃんなんか「何て色気のない会話なの」と苦笑してるし

「なぁなぁーぶっちゃけトークしね〜?」
「はーいムチャぶりキター!で、何ぶっちゃけるのよ?」
「ぶっちゃけブラジャー何カップ?ミカのは聞いたけど(笑)」
「…ねぇ何これイジメ?Bの何が悪いのよ?中二でBって平均よ?て言うかアタシの乳首は
ピンク色で綺麗なんだから!」
「ぶっちゃけ〜☆つーか俺のだってピンクだぞー」
「ベージュがかったね(笑)」

「なぁなぁメノウ姉ちゃんって結構大きいけどどのくらいあんのー?ゲスゲス」
「…お下品ね、私だって平均よ
よ、別に普通でしょ?」
「ぇ?俺と変わんないかと思ったし、そんなに小さかったのー?」
「平均よモミジ!アンタは外国人だから私達より少し大きいだけでしょ?」
「んふ〜♪アリサはー?ついでにウエストとヒップも尻たいね〜(知りたい)」
「モミたんのエッチ〜↓↓アタシも
カップだけどー?良く人から言われるけどほらアタシウエストが細いじゃない?だから大きく見えるのよね〜」
「じ、自慢しないでよね///て言うかお尻大きいし!」
「余計なお世話よミカりん!!ミカりんはウエストも太っいもんねーかっわいそー!」

「あらあら女子バトル勃発ね」
「いやん…ん?(視線?)」

俺はふと上の方から視線を感じた、一つ、違う二…

「メノウ姉ちゃんアレ↑」俺は小声で隣にいるメノウ姉ちゃんに上の視線の発信者に気付かれぬように湯の中で天井を指差した

「(…まぁ!覗きねしかもあんなに大勢で)モミジ…」
「あいさー♪(小声で)」

俺は湯から上がり前も隠さず体を洗うスペースまで向かい「ふぉぉうわぁー!!」と、掛け声と共に近くに転がっていた風呂桶を手に取って
思いっ切り女湯と男湯を仕切っている壁に向かってブン投げた

『きゃぁっ!』ミカとアリサが叫んだ
それと同時に

「んぎゃぁっ!!!!!」とても聞き覚えのある声が悲痛な悲鳴を上げた

「ぇ?な、何??て言うか」
「あら嫌だわーあれって覗きじゃないかしらー?(棒読み)」
「うっそサイテーってサトシ!!ホムラもキムラも…アンタ達ぃ!!」

女子共がバキバキと指を鳴らしだした、一気に楽しいはずの入浴タイムが殺伐とした雰囲気に変わった…
その瞬間一斉に覗き犯の男子達がバタバタと壁の向こうに顔を隠した、全くどうやってあんな高い所まで登ったのだろうか

「たくっ男子の考える事は良く分かんねぇなー?女子の裸が見たきゃ素直に夜這いでもしてきやがれっての!」
「もっモミジ!」
「あーでも俺もお前等襲うからな(笑)今夜は尻の穴ほじくられるかもしんねぇから覚悟しとけよ〜♪なぁー紫苑?」返事は無かったが…

「モミたん超お下劣…↓」

***

「たくーモミジの奴ー!アイツの所為で俺ぁ腰を強打したんだぜー!!覚えておけよ〜!」

そう、最初に落っこちたのは紫苑さんだ
あんなに高い位置から落下したのにもかかわらず怪我一つしていなかった、何て頑丈な人なんだ…

と言うか、この覗き大作戦(仮)も彼の企てだ、ちなみにどうやってそんな高い所に登れたかと言うと
男湯は岩風呂で結構高い場所にまでゴツゴツした岩があるので、それをよじ登って上の隙間(天井付近まで)から覗いていたのだ
勿論、そんな高い位置からではあまりハッキリと裸が見える訳ではない、湯気が立ち込めた浴室は普段コンタクトをしていないと良く目が見えない僕にとっては
最悪のコンディションなのだ(まぁ一応は見えたけど…)

「紫苑さん、モミジに変な事したら怒りますよ」←ミツキ
「…しねぇよ、アイツは俺にとっちゃ妹みたいな存在なんだから、あ
か(笑)」
「ぼやけてましたけど中々の良い眺めでしたよ、将来が楽しみです」
「白河ぁ〜御主…まぁ確かに瑪瑙と熊田は中々…」
「お前等も結構楽しんでんじゃんか」

「つーかさー、一緒に風呂入って思ったんだけど…お前等
ホントに中坊か?」
「そうですよー
健康的な普通の中学生男子ですよー」←ショウ
「…なぁ最近の中坊って成長早くね?
股間とかスゲェな大人並だし…」
「下ネタですか紫苑さん…このくらい普通ですよ?」
「いーや、俺がお前等くらいの時はそんなに無かったぞ?チッコいぞちっこ…まぁ
の奴らよりはデカいけどな」

「ショウ君、君一番おっきくね?日本人の平均って9センチ位よ〜?それも大人の」
「紫苑さんは平均位ですねー」
「うぐっ…サトシ君は7センチくらいかな〜お兄さん安心w」
性交時は倍位にはなりますよ」
「…お兄さん凹むからぁ〜」
「ミツキ君は…君も大きいね↓本当に中学生君等?」
「単に成長が
早いだけですよ、股間の」

「お兄さんマジ落ち込むからぁ〜…」

ちなみに日本人の平均サイズ(弛緩時:恥骨に定規を当てて測った場合)は約9p位で、勃起時は13cm位らしいです
ちなみにちなみにアメリカさんより1cm大きいらしい…(以上作者こと翠碧雑学でした★)

「〜あーつーかさつーかさーこんな話してたら
ヤリたくなんねー?セックス(笑)」
「僕等中学生ですよ?そりゃ紫苑さんは大人でしょうけど…」

ショウ君が呆れた顔で俺を見る
ガタイが大きいのにまだ中身はやっぱり子供なんだなぁ〜

「まぁ〜な俺は大人の男だもんな〜〜♪そー言えばさーショウ君ってミカコちゃんと付き合ってたよね?」
「えぇ、付き合ってますけど?」
「♪♪〜中坊のお付き合いって学校帰りに手ぇ繋ぐくらいでしょ?可愛らしいねwwまだHとかしたコトないっしょ?チューはどうかな??」

「どっちも普通にありますよ?」

『なんだってぇーーー!!!』男子全員息が合った

「…ショ、ショウいつヤったんだ?」
「く、クソ真面目上から二位のショウ君が…チェリーじゃないだと!お、俺だって
この歳になるまでそんな経験無いってのに…」←紫苑
「無かったんですか紫苑さん?!しかし意外だ…相手は無論叶さんですよね?」←白河

「そーだけど…そんなに驚かなくても、ハハ…あー男も有るけど」←ショウ

「お、男!?」←紫苑

「あ、コレは
タブーか、いえ何でも無いです(真顔)」※17話参照
「ショウ…(後で裏来い」←ミツキ

「…うーんと、サトシ君は無さそうだけど?」俺(紫苑)は心の中で「頼むから無いであってくれ」と願った…

「ついさっき(笑)まぁ彼女が居ますからね」
「手ぇ出すの早っ!!えーとアリサちゃん…?よね」
「そうですよ。もしかして付き合って、たった一日目で手を出すのはおかしいでしょうか?」

サトシ君がニヤニヤ嫌な笑みを浮かべている…
明らかに俺を見下している、気がする

「白河御主ビッチにも程があるぞ?せめて1カ月位は待て」
「いやいやそれだけ?!〜全く最近のおこちゃまは〜マセてんな」
「もうここまで聞いたら…はい!ミツキ君は彼女いないよね〜?」

「居ませんけど…有りますよ?経験くらい…」

「はい!嘘〜、流石に彼女いない君は出来ないでしょー?それともダッチちゃんと?(笑)」(※ダッチ…空気嫁www)
「っそんな虚しいコトしませんよ!紫苑さんした事あるんですか?」
「うぐっ…有るワケねぇだろ…そういうジャンルは好きだけどさー」
「サラリと趣向バラしましたね(笑)儂だって色々あるんですよ」

「うんうん僕とヤっちゃたもんね〜あの時のミツキはホント可愛かったんだけど〜(第拾漆話参照)」←ショウ
「…つーかキミ等ホントどんな関係ェ?!…最近の中坊って男同士でもOKなの?そんなビッチなの??お兄さんマジ付いてけないんだけど…」
「まさかNGですよ?あれは仕方なく、ねミツキ?」

「…ショウ…御主呪うぞ…」ミツキ君を見たらボロボロと泣いていた、一体何があったのー??怖くて聞けないけど…

「あー…私もう服を着たので先に部屋に戻ってますね」サトシ君が逃げる様にそそくさと脱衣所から立ち去った


+++

「ミツキ大丈夫?」「ハイ」とショウが儂にビンの牛乳をくれた
この旅館にはこれしか自販機が無いらしい、左から順に牛乳、コーヒー牛乳、苺牛乳、フルーツ牛乳と一列づつ綺麗に並んであった

「誰の所為だ?!余計な事を掘り起こしおって…(泣)」
「まぁま、そう怒んないでよ、誰も本気になんかしてないよ?」

「でもさー本当なの?」
「何がだ?」

「女子とのセックス経験、初耳だよ?相手は?」

「…耳年増だなぁ御主、そんなに知りたいのか?」

「まぁね(笑)…あぁそっか相手はモミジでしょ?」
「ブッ!!…な、ななな…///」

ミツキが牛乳を口から吹き出した、彼は嘘を吐くのがとても苦手な人種(?)である

「顔赤いよー?へぇ〜そうなんだ、いつしたのさ?」
「おっ///御主には関係ないであろう!それとも何だモミジに興味があるのか?」

彼は右手に持った牛乳ビンを渾身の力で握り締めていた、今にもビンが割れそうな勢いである

「…ん〜有るよ、だってモミジスタイル良いし可愛いじゃない?…それにあんなに興味をそそる娘誰も放って置かないと思うよ?」
「御主、見た目だけか?」
「好きなんだねミツキはモミジが、告っちゃえば良いのに?」

「告白はしたさ…でも今は嫌だと言われたよ」
「へぇーフラれたの?」
「いや!そうでは無い、儂達は御主が思っているより深い仲だ、…儂は将来を見据えているんだよ」

「…結婚、考えてるんだ、まだ中学生だよ僕等?決断早くないかい?」

「愛に時期尚早なんて無いさ」

「ヒュー格好良いね♪で、モミジは何て?」
「お互い同意だ、儂には彼奴の居ない未来など想像が出来ん」
「…♪(陶酔してるなぁ〜まっ良いけどね)」

「でも如何やってあのじゃじゃ馬を手篭めにしたの?」
「てっ…!?あ、ある状況になってしまって仕方なくだ///」
「ある状況?」

「耳を貸せ」とミツキが僕の耳たぶをぐいと引っ張った、彼は僕の耳元でトンデモナイ話をした…



「…良いか?決して誰にも言うで無いぞ?言ってみろ御主とはもう絶交だぞ?」
「……///そんな役得すぎる初体験アリ?…しっかしそれでもなおあの関係が崩れないって…愛だねww」

「うむ愛だ!」

「けどさー一分位って言ってもそんな状況下で本当に大丈夫だったの?にんし…
「後で聞いたが何ともなかったそうだ、いや〜しかし俺得だったなアレはw記憶が無いのが惜しいがな…///」
「…記憶無かったの?」
「無かったぞ…あの時モミジは普通じゃなかったからな…」

「多分君も普通じゃ無かったと思うよ」と思ったがあえて口には出さなかった

それは恐らく瘴気だと思うんだけどね〜気が触れちゃったんだな…魅了されたって言うのかな… (※瘴気(しょうき)俗に言う感染菌みたいなものだがこの作中では妖怪や妖が発する悪い気を指す。)

「な、なぁ…御主は如何やって行為に持ち込んだんだ?///」
「聞くの?マセガキだなぁ〜?」
「儂のを聞いといて自分だけ言わぬとは卑怯だぞー?ホレホレ言うてみい(笑)」
「楽しんでるでしょ?…良いけど、あれは二ヶ月前かなーミカコの家に初めて泊まりに行った時だよ〜♪初めての夜だったけど盛り上がったねー」
「ほぉ〜で、準備はして行ったのか?」
「当たり前でしょ?誘われた時からその予定だったしw仲の良い部活の先輩に依頼して買って来て貰ったよ〜ヤリ○ンで有名だからねその人」
「…そんな爽やかな顔で言うと御主が腹黒く見えるな」

「酷いなぁ〜僕は裏表の無いブラックだよ(真顔)」

「…永遠に勝てぬオセロかよ(引きつり顔)」

***

一方女子部屋(他に部屋が無い為寝る時は男女一緒だが…)

風呂上がりの茹で上がった蛸の様な顔の女子達がきゃっきゃと騒いでいた

「え〜ミカりんもうエッチした事あるのー??」

女子も女子で下品な話題で盛り上がっていた、思春期の女子は性欲が旺盛である

「あるわよーアレって最初痛いって言うけど、想像してたより痛くて死ぬかと思ったのよね〜血は出なかったけど」
「え?痛かったのー?アタシの時は痛みなんて無かったよ〜何でだろ??」
「アリサちゃんあるの?!いついつ?誰と?」
「ミカりん一片に聞かないでよぉ〜今日のお昼にサトシと…バージン奪われちゃった///っって恥ずかし〜!!」
「…あぁ、そう言えばここへ来る時と態度が違ってたもんね二人w」

「へぇ…アリサちゃんは痛くなかったのね〜私もそうよ?アレって激しい運動を何年もやってたり、自慰行為をした事ある人は痛くないらしいわよ」
『そうなんですか瑪瑙先輩?』

「きっとミカコちゃんが痛かったのは部活や激しい運動をしてない生活をしてるからで、アリサちゃんは部活してるの?」
「いいえーしてないです、えっと小学の時に半年位バトミントンのクラブに通ってた事はありますけど…」
「それかしら?それとも一人遊びをした事があるとか?軽く触るんじゃなくて穴に何か挿れたとか?自慰とか…」

「えっ///…有るかも///いやだって思春期だし!ねぇ〜」
「あるのね〜…色っぽい雰囲気があると思ったらやっぱりぃ…」
「そぉ?ねぇねぇミカりんは無いの?オ、ナ、と、か??」
「ちょっアリサちゃんっ///な無いわよーだってムラムラしたらショウ呼ぶし」
「…//////ね、ねぇじゃぁミカりん木村のペニスとか舐めたりとかするの?」

「う〜ん…してって頼まれてした事あるけど汚いからそれ以降はした事無いなぁ〜だってアレが出る所だし…変な病気とかになったら嫌だもん」
「ヤだよねーアタシは触った位かな〜でもアレで擦ってきてビックリした…えっ挿れるだけじゃないの?って」
「あるある〜私も最初「えっ?」って思ったもんww二十分くらいそんな事してんのよねーいい加減にしないとコッチのが麻痺するっての!」

「ふふっ男ってAVで見た物をそのままソックリ真似しちゃうのよね〜単純でお子様な生き物だわ」

『そうそう』

「ねぇねぇモミたんはした事ある〜?」
「モミジ?無いわよ、ね?あの子何かあったらすぐ私に言っちゃう所があるもの」

そう言ってメノウ姉ちゃんはクスクス笑った、でも俺は無い訳じゃない
だけど、状況が状況だったから親友以外には言っていないのだ、それにもう俺はメノウ姉ちゃんの後ろを付いて回る様な子供でもないしね

「ひでぇな〜良いじゃんかよー?それにいつかは誰かと出来るんだし…まだ見ぬ王子様とね」
「…ミツキ君とじゃないの?あんなに仲が良いのに、ねぇ?」
「ま・さ・か〜♪何でアイツなんだよー?あんな奴好きでも何でもないよ〜」

と、俺がそう言った時皆が俺の後ろを指差した
何かと思って振り返ると

「げ…ミっちゃん!?」
そぉか…御主儂の事は好きじゃないのか…そぉかそぉか

だが儂はモミジ御主が世界一大好きだっ!!!!!

御主がいくら嫌がっても…死んでも離さんぞ!!!一生覚悟しろ!


ミツが言い切った、驚き過ぎて思わず固まってしまった

「………〜〜〜///////」





「マジ…?え?コレって公開プロポーズってヤツ?」
「ちょっモミジ?あらららー顔真っ赤トマトみたいだし、大丈夫?」


「〜〜〜…えっ///あー…」



「///ーじゃ、じゃぁ浮気するなよっ!!したらデコピンだかんな!」
「おぅ!」

そう言ってミツはニッと笑ってみせた
その時の俺はまだこの言葉が俺達二人を救ってくれるとはまだ知る由もなかった


「オホンっ!ねぇちょっといきなりすぎない?僕達もいるのにさー」
「私も居ますよ」
「ついでに俺も」

僕に次いで白河君と紫苑さんが背後からにゅっと顔を出した

「〜…///あぁぁぁぁぁぁぁあーーー!!!」
「わっどーしたんだよミツ?」
「すっすまぬっ!…///」

「あら良いんじゃないの?ミツキ君にならモミジを任せられると思うんだけど、今時珍しい肉食系男子だし、ねぇモミジ?」
「へ?…//////////…うん」
「良い顔するじゃないの」

「ねぇ…ミツキ君この子の事、これからもお願いね…これから先貴方達に何があっても護ってあげるのよ?」
「…はいっ!命に代えても必ず」
「約束よ」

「モミジ、貴方も彼に何があっても必ず側にいて支えてあげてね」
「……うん」

「この二人に神のご加護を…」

暖かい空気が辺りを包んだ





+エロガキ…ぢゃなくてあとがき+

エロスな回でしたねー。てかほぼ下ネタwwwあと紫苑はスケベです!(笑)
まぁ彼女が中二って時点で変態確定ですがね★(瑪瑙は普通の中二よりちょっと大人っぽいですがねw)

今回は女子もエロトークしちゃってますw
中学の修学旅行の時の事を思い出して懐かしみながら書きました。お部屋で繰り広げられる
ピンキートーク(はあと)
当たり前の様に「勃つ」とか「濡れてきた」とか、お前等経験無いだろって思いながら第三者の目で見てました(勿論会話に混ざってましたよ〜)