第廿捌話【渚】
七月七日、今日は快晴の土曜日
今日は七夕である
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「なぁなぁミっちゃーん!明日さぁ〜奇跡的にも休みじゃん?でさでさードコかに遊びに行かない?」
七月六日、今日は今年一番の暑さだった
夕方なのにも拘わらず日がまだ殆ど欠けてなく、吹く風は生温い…
「…いや」
「…」
「じゃぁ実家に連れてってよ」
「何でそうなる…」
「ご両親にご挨拶」
「…あのなぁー…て言うか儂には片親しかおらんぞ?」
「ぇ?母子家庭?父子家庭?」
「前者の方だ」
「じゃぁ、義母さんにご挨拶したい」
「いや…気が早いぞモミジ」
「じゃぁミツのおススメサマースポットに連れてって」
「…仕方がないなー海にでも行くか(面倒臭い)」
「じゃぁ早速皆に電話するね☆あ、ハーちゃんはケータイ持ってなかったから…よぉし家に突撃早瀬の晩g
「僕ならココに居るでガンスヨ☆」
『へ?』
「ちゃおっす!お邪魔してマウスピースw」
「ハッ…ハーちゃん?!…が何で俺の家に?」
「早瀬?!何故儂の家に?」
「いやいや二人共此処はワシの家じゃい」
「あ、ハゲのおじいちゃん!お邪魔しまーす♪僕、ミジーとツッキーのお友達の早瀬凪ダヨ★お腹空いたから晩ご飯食べさせてぇ〜☆」
「は、ハゲ!…このチビちゃんお前達の友達なのか?」
「まさか」←魅月
「うん」←モミジ
「どっちだ?」
「正確には腐れたロープで繋がれた仲、みたいな★アハ」
「腐れ縁か…まぁ良いだろう、折角遊びに来てくれたんだ晩飯くらい御馳走しよう」
「何ぃ」と言う様な表情を浮かべてミツがハーちゃんを睨んだ
ちなみに今日の献立はみんな大好きカレーライスだ(喜)
+++
「カレーカレー♪ランララン♪♪♪わぁ〜ミジーんちのカレーの具おっきぃネ〜★アリーんちのはちっこいんだヨー☆」
ハーちゃんは小さな体に似合わない大きな口を広げてスプーンに盛ったカレーをバクリと頬張った
俺も負けじと更に大きな口で頬張った
「何を張り合っとんじゃい!」
「らっふぇーほへほほふふぁふふぃふぇふぁいんふぁふぁふぁ!」
「ふぉふふぉふぉふふぁほ!」
「食うか喋るかどっちかにしろー!だぁ〜もー二人共そんなに頬張るから〜溢しておるぞ」
「ほっほほ〜仲が良いの〜良き事良き事」
「ジイさん…たくっ」
+++
「ごっそーさまー♪」バチンと早瀬は勢い良く柏手を打った
しかし、まさかこのモミジと張り合って三杯もおかわりをするなんてよっぽどの負けず嫌いなんだな
「あんなに喰って腹を壊しても知らんぞ〜」
「らいジョーブだよ!僕最近まともにご飯食べてないから★★★」
「そーか……は?」
「どう言う事だよ?」
早瀬凪ことハーちゃんの事は良く分からない、まぁまだ出会ってそんなにならないからかも知れないけど、
そう言えば俺は彼女の住所を知らない、出会った人の住所とアドレスと電話番号は必ず携帯に登録しているのだが
彼女に聞いた所上手い事はぐらかされてしまったのだ、ただケータイを持っていないと言うのは教えて貰ってはいるが…
「のぅ早瀬…率直に聞くが御主…親に虐待されているのか?」最初に切り出したのはミツの方だった
「親〜?そんなのイナイよ〜♪強いて言うなら僕の家族はハナちゃんだけダヨ☆あとはーニャンコの又三郎ダヨ〜♪」
「早瀬っちゃんと答えろっ!!儂は真面目に聞いてるんだぞ?」
ミツがいつになく真剣な表情でハーちゃんに怒鳴った
「…っ、ホントーらもん……おとーさんもおかーさんも居ないもん」彼女の言葉から元気がなくなった
ハーちゃんは今にも泣きそうな顔で俯いた
「何処の施設だ?親が居ないのなら何処かの養護施設に入っているだろう?」
「…一人暮らしらよ、ウソじゃないもん」
「あのなぁ
「まぁまー…えーと、ねぇハーちゃんもう一回ハーちゃんの事教えてくれない?…今度は詳しく」
「ミジー…ウン♪」
それから俺とミツはハーちゃんの話を聞いた、ミツは何か言いたげだったが最後まで突っ込まずちゃんと耳を傾けていた
恐らくタイプ的に噛み合わないのだろう(苦笑)
「て言う訳…でつ……」
その内容は驚くべきものだった
陽気な彼女からは想像もできない壮絶な人生を生きていた
「えっえーと…これで全部ダヨ…わぁぁぁーー!」
「いきなり何だっ!?落着け」
「ハーちゃんもちついてー」
「…らって、信じてないんでそ…?」目を丸くして俺達を見つめてきた
その目には光がない様に思えた
「し…信じるぞ、儂は、安心しろ早瀬」
「ほっほんろにぃ…?」
「あぁ…」
「帰っちゃったね、ハーちゃん」
「また明日会えるじゃないか、ひとまず中に入ろう」
今日は雲が厚くて天の川が見えない
+++
ハーちゃんは北川区の外れにあるプレハブ小屋に住んでいると言う
本来ならばすぐに新しい家が建てばそっちに引っ越す筈なのだが、どう言う訳かハーちゃんの新しい家が建つ筈の場所の土地をある団体が
買収してしまったらしく、ハーちゃんの家族は仕方なく別の場所にマンションを借りようとしていたらしいがそのマンションも同団体に
買い取られてしまい、しかも、部屋は全て埋まってたらしい
なので、彼女の両親は新しく住む場所を探す為に、当時まだ五歳だったハーちゃんを置いて何処かに行ってしまったらしい
しかし、幾日経っても両親は戻る事がなく、流石におかしいと思った彼女は警察に駆け込んだが
警察に両親の行方を捜して貰っても見付かる事は無かったと言う…
当時の警察は一人ぼっちになってしまったハーちゃんを祖父母の所に連れて行こうと、まだ幼い彼女に住所を訊ねたそうだ
しかし、幼い少女が祖父母の住所など知る訳も無く、親切で彼女の戸籍から調べてくれたそうだ
だが、おかしな事に祖父母の住所どころか彼女の自身の戸籍すら見つける事が出来なかったらしい
「存在してはいけない子」
警察はそう幼い少女に言い放った
勿論、警察側にも心の優しい人は居たそうで、全国の戸籍から、既に死亡届を出されている戸籍からも調べてくれたそうだ
その結果、意外な場所から彼女の名前が見つかった
+++
「死人扱いされていたとはなぁ…」
そう、早瀬凪は「死亡届」を出されていたのだ
しかも、調べてみるとその日にちは彼女の両親が失踪した日と一致していたのだ
ハーちゃんは幼い頃に「両親に見捨てられたんだ」と、確信した…
当時の警察も一度は彼女を見はなそうとしていたらしいのだが、ある小金持ちの刑事が生活の援助をしてあげると言い出し
一人で生きていく術がなかった幼い彼女はその援助を受け取ったそうだ
しかし、それは最低限の金額で、何とか生きて行くのがやっとだったそうだ
しかも、もう既にその援助金は使い切ってしまったらしく毎日ジリ貧らしい
「その刑事は殉職してもうこの世にはいないって…て言うか、だったら最初からハーちゃんを養女にすれば良かったのになー娘になれば…」
「確かにそうだな…いやもしかしたらその刑事、未婚だったんじゃないのか?だから引き取る事が出来なかった」
「そうか、その刑事がじゃなくて親がお金持ちでそのお金を、か…」
どちらにせよ不幸な事には変わりがない、儂は心の中で小さく同情した
早瀬と言いモミジと言い、如何して儂の周りの女子達はこんなにも貧富の差があるのだろうか…
世の中不公平にも程があるな
「そう言えば、早瀬はもう金を使い果たしたって言っていたよな?」
「え?うん、言ってたね…どうやって生活してんだろ?」
「まさか早瀬の奴盗みを働かせてるんじゃ…」
「でもそんな風には見えないよ?きっと近所のおばさんからおかず貰ったりしてるんだよ、ドラマとかでよくある」
「古いな…いや、もしかすると新聞配達でもしてるんじゃないか?アレなら中学生でも出来るし」
「あ〜…そうなんだ(知らなんだ)」
「明日聞いてみよ」
深夜零時少し過ぎ―
ミツの部屋(布団の中)
「なぁなぁ明日は何処の海に連れてってくれるんだ?」俺は隣で寝ている彼に訊ねた
ついさっき布団に入ったばかりなのでまだ寝ていない筈である
「なぁなぁ…教えてくんなきゃ○○ぽシゴk
「うぉいっ///…〜たくっ明日はアノ海岸に行こうと思っておる、近くだな、既に「足」には連絡済みだよ」
「足?」
「御主の親友だ、流石に中学生の儂等にそこまで金は無いしな…叶に話した所、快くロールスロイスを貸し出してくれるそうだ、しかも運転手付きだ」
「さっすがぁミカの姉貴!」
「とりあえず今日はもう遅い明日に備えてもう寝るぞ」
「うぃ〜あ、明日は早起きして水着準備しないと…」
「持ってるのか?」
「ミカに貸して貰うー…ねむぃ……zzz」
+++
「今日の気温は今年一番の暑さで―」
ニュースのお天気お姉さんが昨日と同じ事を言っていた
今日の天気も、昨日と同じ様に雲一つない快晴だった
朝から生温い風が吹いていた、まだ七時前だと言うのに…
「まさに海水浴日和だな、モミジ!」深海色の瞳の少年が元気に俺に話し掛けてきた
キラキラした眼が眩しすぎる
「…〜男子は楽でいいよねー、それに比べて俺達女子は…ムダ毛の処理に!水着の用意に大忙しだってのにーそう言えばミツは水着有るの?」
「さっきショウに電話して貸してくれるよう言ってある、しっかし女子は大変だなぁ〜、毛なんて誰が見る?」
「お前等が見るだろ!俺だって面倒だよ!!〜ちょっとミっちゃん背中の毛剃ってー!」
「…ほいほい(昨日の夜に済ましておけよ)」
+++
「爽快!」
「そ〜かい…↓」
朝から疲れた、とは口が裂けても言わない(言えない)が
モミジのわがままは体力を使う
「如何したの?顔色悪いよ?」ショウだ、彼奴はこの夏で更に身長が伸びていた
「いや、何でも無い…しかし、御主まるで朝顔の蔓みたいだなぁ」
「何それ?」
「背伸び過ぎ」
「あぁ…身長ね、今は170くらいかな、ミツキも伸びたと思うよ?」
「…春から測ってないから今どのくらいあるんだろうな…」
「168、9くらいじゃ〜ナイ?キムポンと指一本くらい差があるヨ♪」
「キムポン?!てか誰?って何処…!」
僕は聞き覚えのない声のない声の主を探して辺りをキョロキョロと探した
「ココだポーン♪アチョー!ップ☆」
「あべしっ!あいだ…一体?」←カウンター喰らった
「やはり御主か、早瀬!」
ショウの後ろに隠れていたらしい、薄い灰色のワンピースに麦わら帽を被って小柄な少女がバァと彼の背から登場した
帽子のつばを片方手で折ってベェと舌を出し、キュッと両目を瞑っていた
「…ぇ?小さい子?君ドコの小学校?お母さんは?」
「あ…いや彼奴は小学生では」
「そーだヨ!!ぼくは早瀬凪!木村彰くん、チミィ〜(君)と同じ中二だぼん!あ、でも厨二病じゃないよ←〜★☆★」と、言って早瀬はグッとショウの腰を抱き込んだ
ショウは「わぁ」と素で驚いていた
正直儂も早瀬の行動は良く理解が出来ない、恐らくそれはあの自分では気が付いていないであろう天然のモミジでさえも彼奴の行動は予測が難しいだろう
と、儂は思う…
「何なのさこの子〜…?あいででっ痛っあっくすぐったいよぉーちょっ!いい加減にしなさぁぁいっ!!」
バコンっ、あまりの無邪気行動に早瀬が殴られた、彼女は固まってじっとショウを見ていた
「あ”−−−!!!キムゴンが殴ったぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!痛いよー痛い痛ぁぁぁい!!!」
「叫び過ぎっ!って軽く叩いただけじゃないか…はぁ…本当この子何?本当に同い年なの?」
まるで親戚の幼稚園児とお兄さんの様だ(あながち間違いではない)
思わずクスリと笑いが零れた
「笑ってないでどうにかしてよ〜ミツキの馬鹿…」
「すまぬすまぬ(笑)まぁそんな感じの子だ、仲良く頼むよ」
「…難しい(ミツキ酷い!)」
「おっ♪ショーちんオハボ〜★」
「おっおはよ…アレ?何か喋り方おかしくね?」
モミジだ、しかし何故に「早瀬のマネか?」
「おぅ!だってハーちゃんの喋り方って可愛いじゃん?」
「確かに可愛いわよね〜w何て言うか個性的で、萌えキャラだし」←実果子
「ね?可愛いでしょ??ナギの喋り方w」←亞璃沙
「うぉう!!女子」
「おっはヨ♪ホムラ〜今日もとっても天気が良いわね〜まさに海水浴日和☆」
「久し振りに会って呼び捨てとは…(しかも名字って)」
全く女子は朝っぱらからテンション高いなぁ…↓
「皆さん、そろそろ出発しますよー」白河だ
全く、モミジよ一体何人に声を掛けたんだ?
+++
「海は広いな〜沖縄〜行ってみたいぞ〜お金ナシ〜♪」
「ヤメロ、そんな虚しくなる替え唄は」
一番テンションの高いモミジが大きな声で歌っていた
ちなみに今日のメンツは、儂にモミジにショウ、叶、白河、熊田、早瀬に瑪瑙、そして紫苑さんだ…ってほぼ全員じゃないか!
「しかし、叶…こんなに呼んで良かったのか?まぁバスには乗れておるが…」
「別に〜九人なんて大した数じゃないわ、だってこのバスは十人は余裕で乗れるもの、マイクロバスだし」
「オホン、ワタクシも居ますぞ実果子お嬢様、ワタクシを加えて十人丁度で御座いますよ」
「町田さん、そうだったわねゴメンなさい、貴方を忘れちゃいけないわね」
「いえいえ」
このバスの運転手で、叶家の執事長を務めている町田憲三さんだ
老年の細いオジサンだ、町田さんはこの暑いのに長袖のスーツを着てしかも白い手袋まで付けている
なのに汗一つ流さず涼しい顔をして運転をしていた、流石、名家叶家の執事長だな〜
「そう言えばミカ最初、ロールスロイスって言ってたよな?」
「うん?えぇ…でも流石にこの人数で乗用車は無理でしょ」
「そうだな…冷蔵庫無いんかー前飲んだシュワシュワする水アレもう一回飲んでみたかったなぁ〜」
「ほぉーそれってペリ何とかだっけ?」
「ペリエよ、それならホラ此処に有るわよ、勿論皆の分もちゃんと用意してるわ」
「さっすが金持ちミカお嬢様〜♪愛してる〜お金〜♪♪」
「ちょっとモミジぃ〜!」
朝っぱらから眉間に皺をよせてミカは俺に自分の足元に置いてあった紙袋を手渡してきた
ズシっとしたその中身は瓶に入ったペリエだった、ひぃふぃみぃ…四本か
更に、もう一袋を俺のすぐ横の通路の向こうの席に座っているミツに渡した、そっちのは五本だな
「オーイ!皆ぁー叶からペリーだってよー!」一気に場のテンションが上がった(笑)
単純だなぁ〜
「ほっほっほ」
+++
一時間と五十分くらい経った―
すっかり景色は変わり窓から入る風が潮の薫がした
もうすぐ海岸に到着するみたいだ
「海にぃ〜〜〜〜着いたどぉぉ!!海ぃ海ぃウニィィィィーーーーーー!!!」
「テンションたっかぁ〜モミたん、それにしても予想通り人が多いわね〜ヤァダァ〜〜↓」
駐車場に車を止めて、一旦皆で下車した
まだ七月の上旬だと言うのにビーチにはごった返す程の沢山の人で溢れていた
「おほぉ〜ww黒ビキニのボインちゃん発っ見〜☆」
「紫苑っ!んも〜…サイテー」
メノウ姉ちゃんと紫苑だ、あれから益々ラブラブだ…
「では、皆様、ワタクシは海の家に行って来ますので…皆様お着替えをば」そう言って町田さんはビーチにある海の家に向かって行った
て言うかあの格好で本当暑くないのか…?
「じゃぁ皆ぁーバスに戻って水着に着替えましょ!」
「アイアイアサ〜♪」
一旦バスに戻った、バスには後ろと前を区切るカーテンが備え付いていたので、前が男子、後ろが女子で各自着替えを済ませた
「しっかし…カーテン一枚を隔てて向こうは女子…良いのかコレ?」
「…そっかミツキは女の子の裸ってモミジくらいしか見た事ないんだっけ?はは」
「ぬっ…そう言う御主は見た事があるのか〜?言っておくがAVは見た内に入らんぞ」
「俺は見た事あるぞ〜〜ww瑪瑙の…」
「紫苑さん…///ってミツキー僕だってそれくらい見た事あるよ!ミカコの
「ショウっ何言ってんのよバカァ!!」
「ぜぇんぶ丸聞こえだぞ〜ミツ〜」
「わぁっミカコ!聞いてたの…?」
「て言うカ〜今の会話さぁーカコちゃぁ〜ん(実果子)はキムキムとネタってコトだおネエ〜〜♪www」
「あら、そうね…ねぇ実果子ちゃん、ちゃんと避妊してヤったの?」
「あ、はい…ってっ///瑪瑙先輩!!しっしてませんよー私達まだ中学生ですよ!」
「私も中学生よ?うふふ」
「リア充爆発シローーーードッカァン!!」←凪
「賑やかだな〜女子組はwおっそうだ今の内に覗いちゃえ〜〜♪JCのチチチ…あべしっ!!」
カーテン越しに紫苑が顔面を殴られた、犯人は言わずもがなモミジだろう
儂とショウはクスリと笑った
「ホント、賑やかな連中ですねー」
「ぬ?おほぉ!!白河何だそのクルクルは?…て言うかおったのか御主…」
「巻き巻きタオルだね〜懐かしいなぁーまだ持ってたの?それ小学生の時のじゃない?」
「えぇ、さっき鞄を開けたら入ってました、恐らく母が勝手に入れたのでしょうねー」
「…白河君ってマザコン?自分の荷物くらい自分で準備しなよ…」
「ドン引かないで下さい、ちゃんと自分で用意しましたよー前日から玄関に置いていたので」
「おぉ〜い♪男子ぃ〜〜女子が行くよー先にバス降りてぇ〜」熊田だ
彼女はバサバサとカーテンを揺らしながら「お〜いお〜い」と訴えてきた
そう言えば熊田とはあの件以来合っていなかったのだが…
モミジが交友していたのかな
+*+
「なぁなぁ〜女の子達どんな水着着てると思う??俺の予想はモミジとナギちゃん以外はビ・キ・ニだと思うね〜♪」
テンションの上がりまくった紫苑が儂に絡んできた
「し、紫苑さん…肩組まないで下さい、暑いです…」
「全く…暑苦しい連中ですね」
「う〜ん…て言うか白河君ってオフの日はいつも髪が立ってるの?何か意外だなぁ」
「えぇ、土日はいつもこんな感じですよ」
「反抗期?」
「まさか、通常運転ですよ(笑)」
普段、真面目で優等生の白河聡君の性格上ヤンキー(死語)みたいな事(髪にワックスを塗ったり)はしないと思っていたから意外だった
彼の髪型はいつもは少し長めのショートヘアなのだが、今日は毛先がピンピンと外ハネしていた、オマケに眼鏡もしていなかった
きっと初対面の人が見たらただの軟派な男子にしか見えないだろう…
「つーか俺、知らない子ばっかで誰が誰だか分かんないんだよなぁ〜敬語の優男君はなんて名?」紫苑さんは大学生なので僕等中学生組の顔や名前を
あまり知らない
「や、優男って…コホン、私は白河聡(シラカワサトシ)です」
「あ、僕は木村彰って言います、ってさっきも言いましたね…」
「お〜うサトシ君にショウ君な…ってあれサートシ君は見た目と喋り方が一致しないよねー?何でー」
「オン↑オフ↓なので悪しからず」
そう言って白河君は右手人差指を上下させた
「…あー髪ね、ふぅん普段からソッチの方が女子にモテるべーイケメンだし鼻高いな〜」
「そ、そうですか?」
白河君は少し嬉しそうに照れていた
きっと普段は言われないんだろうなぁ〜(知ってるけど)
「知ってるか〜?鼻の高い男はアソコもデカいんだっ…
ドゲシっ!「あいたぁ!」と紫苑さんが思いっ切り前のめりにズッコケた
「なぁにお下品な事をピュアボーイズに吹き込んでんだよ?アホ紫苑」
「ドォイ!!モミジ…ブゥっ……(倒)」
水着に着替えてきたモミジが紫苑さんの背中を蹴ったのだ
にしても相変わらず見事な脚力!
「もぅっモミジ先に行かないでよーて言うかほらアンタ忘れ物よ!」
「わりw俺の小銭入れちゃんwww」
モミジに続いて続々と女子がやって来た、皆揃ってパーカーを着用していた…
「夢を壊すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!(涙目)」
「ヒィっ!!ど、如何したんだよ紫…鼻血っ?俺手加減したぞ」
ガバっと紫苑が起き上がった、その鼻からは赤い筋が流れていた、あと何故か涙も
「確かに夢が壊れたな…」
「僕も激しく同感するよ」
「私も右に同じく」
「うぉぉぉい女子ィー!何で…何でパーカーなんて着てんだよ!アホかお前等!!!」
「意味が分かんないわよ?ギリギリまで日焼けしたくないから着てるんでしょうが」
「男にとって水着女子のパーカーってのはな鎧なんだよ!!鋼の鎧と同じなんだよ!と言う訳で脱げ!さもなくばオレが脱がす!」
「紫苑さん、女の子にそんな発言するのはセクハラです、次そんな事を言ったら訴えますよ?」←実果子
「ゴメンなさぁぁぁい!!(土下座)」
『意思弱っ!!』←男子全員
「あー何か紫苑ウザいし、暑いし脱いじゃおうよ?はいミカからどーぞ!」
「え?…しょうがないなぁ〜」
ミカコがパーカーのジッパーに手を掛けた、ビビッドのピンク色のシンプルなデザインのパーカーだ(女の子らしいなぁ〜)
「じゃ〜ん!私の水着はコレで〜す♪結構自身あるのよね〜〜」
「エントリーナンバー一番!叶実果子、これは定番のスカート付きのビキニだね〜白地にピンクの小花柄は男子受け間違いなし!しかもスカートの中はなんと
ヒモパン仕様になってまーすww」
「ちょ…モミジ何でMCみたいに解説するのよ?」
「ん?気分♪」
「ビキニ来たぁ!!カップは小さいけどそれもまた味wゲヘヘヘ〜(変態ロリコンモード入りました〜)」
「紫苑さんっ!!小さいは余計なお世話ですフンっ!」
「じゃぁ次はアタシね☆」今度は熊田だ、瑪瑙と同じくらいの長身だからきっと大人っぽいの着てんだろうな〜♪
「続いてエントリーナンバー二番!熊田亞璃沙〜」
彼女のパーカはパステルのピーコック(青緑色)に白のドット模様だった、可愛いな〜w
「ばぁんwアタシのはコレよ♪ミカりんより胸には自信あってよ〜」
「お〜っとコレは意外や意外!スカ―レッドカラーのセパレートタイプですね〜♪この模様はペーズリー…着替えの時から思ってたけどさー意外とダサいね(笑)」
「い、良いじゃないセンスは問わないで!」
「センスは兎も角として…オッパイ最高!(ビキニが良かったー!)」
「Cくらいだねーまぁ中学生はこのくらいが限界か」←ショウ
「そこの男子ぃ!後で体育館裏ね!(怒)」
「次はボクね☆★☆」
「エントリーナンバー三番!ロリっ娘天使早瀬凪ちゃ〜んww」
『……』←男子全員
「期待しろー!あ、この黄色のパーカーはアリーに借りたんだヨ♪」
「おっコレは予想に反してビキニで来ました〜wビビッドな蛍光グリーンが眩しい!しか〜し下は短パン仕様だね?」
「アタシが小学の時のだもん」
「アリ―貸してくれたんだーサンク〜♪」
「ちっ…ちっぱぁぁぁい!(小さい胸)コレはコレで…」
「紫苑〜それ以上言うとただのペドだよ(笑)」←モミジ
「大人になったら大きくなるもん!うぇ〜ん!!↓↓↓(>_<)」
「さーて次は…」
「私ね♪」
メノウ姉ちゃんは大人っぽいアイスグレーのシンプルなパーカを着ていた、恐らくセンスはこの中では一番だろう
「エントリーナンバー本命!魅惑のマーメイドプリンセスメノウ姉ちゃ〜ん!来た―!来たー!スリムな躯に意外なガーリーパステル系のピンクが女の子らしい!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ∞!!俺の嫁ぇ!」
「し、紫苑さんうるさい…空気読め」←ミツキ
「あえて無地なのが良いね〜下のそれはスカート?」←ショウ
「これ?マキシのスカートよ、エスニックで可愛いでしょう?」
「いや〜俺これの後だから脱ぎづらいなー…」
「エントリーナンバー最後!期待ハズレのミジー!」
「誰が期待外れだぁ!あ、このパーカはGWの時にセールで五百円で買ったヤツね♪」
「白って微妙よねぇ〜」
「う”っ…お、俺はコレだぁぁぁ!!(ヤケクソ)」
バサッ
『…おぉ!!』意外な事に一斉に男子全員から歓喜の声が上がった
モミジの水着は飾り気のない真っ黒なまるで鯨の様な色のビキニだ、フリルやスカートなんて一切付いていない
有るのは首の後ろの細い飾りの様なリボンとパンツの横におまけの様に付いているリボンくらいだ
「黒か…しかもモミジがビキニって…つーかお前そんなにチチデカかったのか?」←紫苑
「へぇ〜胸結構あるね、大きさだけなら一番じゃない?(前見た時より成長してるな〜♪)」←ショウ
「褐色の肌に黒って意外に合いますね〜巨乳」←サトシ
「エロいのぉ…///御主叶からソレを借りたのか?」
「…あー最初はそのつもりだったんだけど、胸んトコがミカのじゃ小さかったからミカの所のメイドさんのを借りたんだー俺今Dカップだしー」
『Dっ!!!』異口同音、またまた男子の声が揃った
「あーでもヒップはソレのじゃ大きかったからミカのを借りたけど、同じ黒だったしデザインも似てたから…」
「期待はしてなかったのに…悪ぃ瑪瑙!モミジが一番だ!(漢)」
「…何よ、男子って結局はオッパイなの?サイテ―ね」←瑪瑙
「ホント〜」←ミカコ
「ばぁ〜か」←アリサ
「みゃ〜!」←凪
「へ?俺の一番ダサい様な…普通の超ドシンプルな黒だよ…?」
「あ〜あ…黒なんてオバさんぽいからって思ったのに、白い方を貸せばよかったかもー」
「白も良いな…似合いそう」
「ミツ…あーいつか買える様になったら白買うよ」
「〜…そう言えばモミたんって外人さんだったよね?」
「ん?そーだけど…」
「胸が大きいのは外人だからね!外国じゃDなんて貧乳よね〜?」
「…ま、負け惜しみかよ(汗)」
「ほほほほ〜〜♪モミジは親戚だけどコレならヤレる!(ドヤ顔)」
「紫苑…私の妹分に手を出してみなさい?命がなくてよ?」
「ゴメンなさぁぁぁい!!(土下座)」
「さーて…そろそろ皆さんビーチに行きましょう!」
+++
白河の合図で浜辺に向かった
七月の陽射しを目いっぱい受けた砂浜の温度は異常に熱く、足の裏からコゲてしまいそうだった
ビーチ草履も「役立たず」な状態だ
首に巻いてあるタオルが黒色な所為か光を吸収して堪らなく熱く感じる、儂の隣を歩いているモミジは頭からパーカーのフードを被っている
「暑くないのか?熱中症になるぞ」
「は?チューしよう…?な、何言ってんだよ///」
「ホムラサイテ〜!こんな所で何言ってんのよ〜〜?」
「本当!デリカシーナシ男のミッツ〜〜!!」
「な、ななな…!?儂は熱中症になるぞって言っただけだぞ!!聞き違いをしたのは御主であろう?」
「俺何も聞き違いとかしてねーし!」
「……」
これだから女子は、と思ったがあえて口には出さなかった(賢明)
「お嬢様、皆様、海の家のシャワーの許可を取って参りました」
執事長の時田さんだ、何てビーチが似合わないのだろう…
時田さんはミカの側に寄って耳元で何かコソコソと話していた
「さぁ行きましょう!」
ミカの掛け声で皆各々の好きな場所に向かって行った
「〜…俺はー」
「儂とで良いであろう?モミジ」
一人ボーっとしていたら背後からミツが声を掛けてきた、俺は「そーだな」と暑さの所為で少々やる気のナイ返事をしてしまった
「元気が無いな?来て早々だが何か冷たい物でも飲むか?」
「…いや、先に泳ぎたい…暑い〜水に浸かりたいなーあっちの方に行ってみようよ♪」
そう言ってモミジは海の家から西の方にある岩場を指差した
彼女は嬉しそうにこっちにおいでよと手を振ってきた、眩しい太陽よりも眩しい笑顔を携えて
「〜コレってデート+ブガイシャじゃん??ぼくあっち行きたい!プーン」
カップルを邪魔するべからずとアタシと白河に付いて来たナギだったがさっきから文句ばかりだ
「行きたきゃ行けばいいでしょー?て言うか…ウチ等独り者トリオじゃん??」
「らぁってぇ〜サトサトはアリーと二人っきりが良いみたいなカオしてるボン!ぼく部外者じゃん…↓↓↓あぁぁぁぁぁーーーもう僕あっち行くぅ!と言う事で
イッテキマッフル〜〜♪★♪☆♪★♪」
「結局行きたいだけじゃない!…て言うか白河アタシと一緒が良いの?」
「まさか!私はまだ貴方の名前くらいしか知らないんですよ?あと、センスが悪い事とか」
「最後のは余計よ!!…ねぇアタシも白河の事あんま知らないし教えてよ?確か貴方も妖なのよね〜?何の妖なの教えて?」
アタシは自分より十センチ程背の高い白河を下から覗き込んだ
彼は一瞬目を合わせてくれたかと思うと直に視線を外してそっぽを向いてしまった、何だかムカつく〜!
「此処ではあまり大きな声では言えませんが、私は兎の妖です、幼い頃に事情があって人間から妖になりました…」
「以前、モミジさんと一悶着があったりして、まぁその頃から彼女達とは一緒に居ますね」
「………うわぁ〜ん(泣)」
「??熊田さん…いきなり何ですか?えと…あぁ」
突然、熊田さんが泣き出してしまった、近くを歩いているカップルに睨まれたので慌てて彼女を慰めようと色々声を掛けた
「…大丈夫ですか?熊田さん…突然泣き出して如何したんですか?(女子が分からない…)」
とりあえず泣いている女子を歩かせるのは難だと思ったので、近くの海の家の裏にある階段に連れて行った
此処なら人目もあまり無いので…
「……白河ぁー白河ぁ〜〜アタシアンタをお婿に貰ってあげるから…ひっく…お願いだからアタシの側に居て…アタシずっと…白河の側から離れないから…!うわぁ〜ん」
泣きながら熊田さんが必死に告白(?)してきた、正直ビックリだが唐突過ぎて嬉しくない…
私は泣いている彼女の頭を何度も撫でながら「泣かないで下さい」と慰めの言葉を掛けてみた
「く、熊田さん///…そういう言葉は本当に好きな人が出来てからにしないとダメですよ?…っと、事情を話して下さい、泣いてちゃ何も分かんないですよ?」
「…ごっ…ごえん……だって白河…人間から妖になったのよね?それってつまり…つまり…ふわぁ〜〜ん!!」
「……知ってるんですね?人間から妖になる方法を」
「死なないと妖にはならない…っ…あと兎の妖は居ないから……つまりキメラ(合成妖)って事じゃない?何だか可哀相…」
「私は幸せです!!今こうして生きている、皆や熊田さんとこうして共に笑って居られる…とても幸福(しあわせ)ですよ…!」
「…白河ぁ〜アタシも…アタシも幸せだよ…アタシアンタが好き、大好き!…大好きらから…しらかわぁ〜〜」
「っ!!!?」
そう言いながら熊田さんは隣に居る私をハグするようにギュッと抱きしめてきた
涙で濡れた頬は赤みを帯びていて、大きな灰がかかった茶色の瞳が私をじっと見つめている
「……熊田、さん///私で、良いんですか…?」戸惑いながら私は彼女に問うた
「うん…」
「私は…軽い気持ちでの付き合いはしない主義です、それでも良いんですか?」
「…?!///…ふぇ…え…///……」
彼女は冷静さを取り戻したようであたふたした表情を浮かべていた
だけど私は見たまま(?)のサディステックな性格なので一度聞いた事はなかなか撤回しない主義であり勿論
これも、
「本当に良いんですね?では…先程貴女が言った通り、私の側から離れちゃダメですよ?」例外ではない
彼女は慌てて私の腰に回した自身の腕を放そうとしていた、しかし私は彼女が腕を解く前に彼女の体を抱きしめ放さない
「し…白河ぁぁ…えーと…ゴメン、なさい…嘘です…うぁ…っ……」彼女がまた泣き出した
それでも私は彼女を放さなかった
「フフッ…嘘?ウソであんな事を言える人じゃ無いでしょう貴女は、目を見れば分かります」
「わっ…分かる訳ないじゃない!!ば、馬っ鹿じゃないのー?」
「えぇ私は馬鹿な男です、だから貴女を放しません…覚悟して下さいね?」
「…ふぁ、い……」
何がどうなっちゃったのか分からなかった…(コレって受難?!)
「お腹空いたね〜今日は朝早かったから余計に空くのが早いね?」ショウが胃の辺りを押さえて空腹を訴えてきた
時間はすっかり十一時過ぎ…
到着してから三時間ほどが経過していた、さっきまでビーチで大はしゃぎしていた所為で急激に体力が減っていた
特に中学生男子のショウは私に比べてお腹が減るのが早いのだ
「…じゃぁちょっと早いけどお昼ご飯にする?私もお腹が空いて来た頃だし…どの店にする?」
今年は去年に比べて露店もカフェやバーも多く出店していた、定番のカキ氷やイカ焼き、カフェならロコモコやハワイアンテイストのおしゃれな店が
ビーチ一帯に軒を連ねていた
「ミカコは何が食べたい?僕はガッツリ系が良いな〜あ、カフェもあるみたいだね」
「…私も沢山食べたい、かな〜(最初から選択肢無いじゃない!)」
「じゃぁ海の家でカレーにしようか?カツカレーとか食べたいなぁ〜」
彼に腕を引張られて如何にもなちょっと汚い(失礼)定番を醸し出している海の家に連れて行かれた
まぁ、カレーは好きだけどさ…
「〜…そろそろ昼飯にせぬか?」
モミジはさっきから同じ少し高台にある岩場から何度も飛びこんでいた、どうやら飛びこみにハマってしまったようだ…
「え?もうそんな時間?分かったーじゃぁあと一回ね♪」
「…仕方が無いのー」
「せぇのお昼はカレーラァ〜イス!」
バザァン
+++
十一時少し過ぎ―
海の家「さざなみ」
「…なぁんだモミジもカレー?」一口目を食べようとしていた時に親しい声が聞こえた
ミカだった、彼女は俺と同じ半熟の目玉焼きが乗ったカレーライスを盆に載せて「よいこらせ」と俺の隣に腰を下ろした
その隣にショウが今度は大盛りのカツカレーを持って来て座った
「御主もカツカレーか…真似をするなよ〜」
「仕方無いでしょ、ここカレーしかないんだから…腹減ってたしさーね?ミカコ」
「…ロコモコ食べたかったなーこの間TVで言ってたヤツ」
「じゃぁ最初に言えよ?」
「だって貴方がカレーが食べたいって言ったんじゃない?もう別に良いけど」
「ミカコあの…
「は〜いは〜いせっかくの海だべ喧嘩は海星(ヒトデ)も食わねど〜」そう言って今にも口喧嘩をしそうになっていた二人を治めた、やるのぉ〜
「あら、皆此処に居たのね?」瑪瑙だ、彼女の手にもカレーがあった
「よぉ!お前等もカレー?カレー良いよな〜海水で冷えた体が香辛料で温まるわ〜あ、俺等はいつでもポッカポカだけどな〜ww」
「もぅ紫苑たら、お邪魔して良いかしら?」
「あ、皆ぁ〜やっぱ海と言えばカレーよね〜??お邪魔するわね♪」今度は熊田が白河と一緒にやって来た
「あらあら、一緒に来るなんて熱いわね」
「め、瑪瑙先輩///そんなんじゃ
「えぇまぁ、付き合ってますしね」
「こ、此処もリア充かよ…羨ましいなぁー↓」
「モミジだって十分リア充じゃないの?」
「?」
「へ…アタシ達って付き合ってんの?」
「あんな事した仲じゃないですか…?それとも逃げるんですか?」
「何をしたんじゃ〜い?ひ〜わ〜い〜」
「卑猥じゃないって!ただキスしただけよ!!」
「したんだ」と口には出さなかったが全員思っていた
「所で…凪来てないの?」
アリサがきょろきょろと辺りを見回した、メンバーはこれでほぼ全員なのだがハーちゃんだけが居なかった
確か彼女はアリサ達と一緒だった筈、俺はアリサに訊ねた
「確かに途中までは一緒だったわよ〜でも「僕あっち行くー♪」って言ってどっか行っちゃったのよねー全く自分勝手なのよね〜」
「ふぅん…ハーちゃん二人に気を使ったんだねーで、めでたくカップインって訳ね〜wさぁてベッドインはいつかしら〜?RECレック(笑)」
「モミジ〜流石にまだ早いわよー隠しカメラ隠しカメラ」
「ちょぉ〜っとモミたんミカりん(怒)」
・・
「にしても…ケータイ無いと連絡取れなくて不便ね〜↓凪何処に居るのかしら…?」カレーのスプーンの柄を顎に押し当ててはすを見た
「ミンナアーただいまあ!!おっかえりぃーーー♪」
突然嵐がやって来た、ハーちゃんだ
顔を真っ赤にして「暑い暑い」と言いながらやって来た
「なっ凪!!アンタ何処に行ってたのよ!」
「ハーちゃん?おかえら〜カレー頼んできなよ、今日はミカ持ちだからさー」
「ナギちゃん行っておいで」
「あ、カコちゃん…ゴメンさっき食べてキタんだー★エット、サーフショップで友達が出来てさ…あ、喉乾いたからジュース頼んできてイイ?」
「良いわよ?」
凪は頼んだコーラを飲み干してすぐさま何処かへ消えて行ってしまった…
「早くその子と遊びたいんだろうねぇ〜男の子かな?」
「ナイナイ、凪に限ってオトコなんて」
「あら、分からないわよ?ナギちゃんだって女の子だもの、ねぇモミジ?」
「?そーだねぇ…(でも何だか様子が変だったような……)」
俺達は昼食を食べ終わってすぐにまた各自海に遊びに行った
勿論俺はまた岩場で飛び込みだけど♪
「の、のぅモミジ…昼からは普通に泳がぬか?それにあんまりあんな高い所から飛びこむと水着が脱げるぞ?」
「ミツ期待してんの〜?エッチ///」
「し、しとらんわ阿呆…///儂はホラ、若者らしくビーチの方が良いなって」
「…そーだなぁ〜俺も飛び込むの飽きたし…ビーチぶらぶら略してビチぶらしよっか?」
「ビッチビチのブラジャーみたいだな(笑)」
+++
ぼくはアリーにも皆にも内緒にしてしまった事がある
今ぼくは海沿いのサーフショップ「CALME DU SOIR」に来ている
小さな木造の二階建てのお店だ
ちなみにCALME DU SOIRは日本語で夕凪だそうだ
「凪ちゃんいらっしゃい、暑かっただろう?今お茶入れるよ」
店のガラス戸を開けるとレジ脇に少年が座っていた、白いブラウスにベージュのチノパンを履いたスラリとした体躯の美少年だ
彼の名は「夏木 渚(なつきなぎさ)」この店のオーナーの息子だ
「ナギサくん!あ、お茶はイイヨ〜さっき飲んだからー」
「そう、か…じゃぁまたビーチに行く?ここからちょっと遠いけど?」
「うん!…あーでも体大丈夫…?」
「ダイジョウブだよ?今日は凪ちゃんと出会ってから凄く調子が良いんだ!それにさっき母さんが「今日は顔色が良いね」って言ってたし」
「ナギサくん…」
ぼくとナギサくんはそのビーチに向かった
彼が言うにはそこは誰もいないプライベートビーチなのだそうだ
緩やかな風がぼく達の周りに吹いていた
太陽が眩しいなぁ
「ココだよ凪ちゃん」ナギサくんが大きな岩を指差した
その岩場の隙間を覗くと確かに誰もいないビーチがあった、ぼく達はその隙間から少し離れた所にある岩をくり抜いた様な天然のトンネルを潜った
トンネルを潜るとキラキラと光る海が広がっていた
「さぁ行こう凪ちゃん」
「うん!!…でもナギサくん水着は?」
「ちゃんと履いてきてるよ」
彼は早く泳ぎたいのか急いでブラウスを脱ぎ捨ててズボンを下ろした、思わずドキッとする
陽にあまり当たった事の無い彼の足は蒼白に近い白色で血管が見えそうだった
「(あ、ちゃんと筋肉あるんだ…)」
少し胸が高鳴った中学二年の夏だった
*あとがき*
という名の反省会(笑)www
夏休み前の海水浴!!編突入ですwwwでも今回は一話しかUPしません。何でかって?それはあんままりストックがないから…です(> <)
言い訳やんか!許せ!←逃
えーと今回の話は、ロリっ娘ナギちゃんの初恋物語ですw
皆さんの初恋はいつでしたか?僕は…いつだっけ(笑)もう忘れたよーwww
ちゃんと現在進行形でに恋してます!(本当かよ)